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第1分科会 【同志社中学校・高等学校】

テーマ 知識と思考の両立をめざして 〜歴史の授業における実践〜
発表内容 日本史A(高校2・3年生)および 歴史総合(高校1年生)での授業実践
発表者 村木真理・加藤未知

発表概要

新学習指導要領で重要視されている、資料を用いた主体的な学びを取り入れながら、知識と思考の両立を目指した授業実践について発表した。

◆史料を核にした探究的な高校日本史の授業実践(村木)
旧学習指導要領の「日本史A」の授業実践を報告。同志社高校では新学習指導要領のカリキュラム編成でも、学校設定科目として「日本近現代史」を置いており、それにつながる内容である。

  1. 授業スタイル…毎回、プリントを配布。パワーポイントを用いての講義とそれに関する史料読解と問いに取り組む時間を組み合わせた授業構成。次の授業では史料や問いの解説を行い、新しい内容に入る。
  2. 史料に親しみ、史料の面白さや科学としての歴史を実感できるよう、毎時間多くの史料に触れるようにした。史料の種類も、条約や法令の条文などに限らず、手記や日記など当事者の生の声が実感を持って伝わる史料も取り入れた。史料読解は難しいので、友人たちと積極的に相談することを推奨した。
  3. 成果と課題…多くの生徒が積極的に授業に取り組み、史料の面白さや重要性を実感した生徒が多かった。今後、史料や問いの量の精選や一層生徒の興味を喚起できるような史料を探していくことが課題である。また、生徒一人ひとりの取り組みに対するフィードバックが時間的に難しかったことも課題であった。

◆新カリキュラム 必修科目「歴史総合」の授業報告(加藤)
新学習指導要領に基づき、新カリキュラムの1年目であった、2022年度高校1年生での「歴史総合」の授業実践を報告。

  1. 授業スタイル…毎回、プリントを配布。パワーポイントを用いての講義と問いに対するペアワークを中心に授業を構成。授業後、プリント掲載の課題に各自で取り組み、翌日までに提出。担当者が内容をチェック。次の授業ではその課題の解説を行い、新しい内容に入る。
  2. 授業後に各自が取り組む課題は、学んだ内容をふまえて、資料とじっくり向き合い、読み解く機会になるよう、資料を多用した。また、自分の考えを第三者に説得力をもって伝えることを目標に、文章で述べる形を重んじた。
  3. 成果と課題…多くの生徒が年間を通じて主体的に取り組み、「資料に基づき、科学的に歴史を考察する」経験を積むことができた。一方で、学習の前提となる基礎的な歴史知識の習得状況や通史の理解に個人差が大きく、「歴史総合」のねらいの1つである、地域横断的にテーマ史を扱うことの困難さがある。その中で、生徒自身が有効な「問い」をたてる、という活動は不十分だった。また、従来の日本史A、世界史Aの学習範囲とほぼ同じ時代を対象としている科目だが、単位数は減少している。授業内容の精選も必要。

第1分科会 【同志社中学校・高等学校】

質疑応答

Q.日本史Aの授業実践について、史料を多く扱う分、授業の内容はどのように調整しているのか。

A.板書ではなくパワーポイントでの説明にすることで時間短縮を図っているため、授業の内容自体は減らしていない。

Q.生徒が「問い」をたてる活動は、授業中には不十分であったとのことだが、他の取り組みの中で行っていたのか。それとも、まったく行っていないのか。

A.長期休暇の夏休みの課題として、複数の書籍を読んだ上で、自ら「問い」をたて、根拠をもって答えを考える、という活動をさせた。

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